何度やっても同じ

ただの日記

ひとり会社のための減資のしかた―(1)登記編―

※登記に必要な書類のサンプルは文章のなかで都度リンクを張ってあります。サンプルというか、実際に使った書類の社名などをふせただけのものです。

つづきはこちら → ひとり会社のための減資のしかた―(2)会社側の会計・税務編―

これから、「株主も社員も自分だけのひとり会社で、会社の資本を自分に払い戻すことが目的」である場合の減資について説明するよー。かじっただけの素人なので間違ってたらごめんなさい。

減資は、(1)同時に株主に金銭を払い戻すかどうか、(2)株式の減少をともなうかどうか、で手続きを分類できる。特に、株主への払い戻しがあるものを有償減資、ないものを無償減資ともいう。今回は払戻すのだから有償減資。株式の減少をともなうかどうかだけど、株主が自分ひとりなら必要なし。株主が2人以上で、特定の株主だけに払戻したいケースであれば、その株主の株式を会社が買い取って消却する(つまり株式減少がともなう)という方法でやるのかもしれない。けどその話は今回はナシで。無償減資は、損失補填のための減資なんかに使うのだろうけど、その話もナシ。

以下ではとりあえず、会社のB/Sは
資産 1,300万
負債 100万
資本 1,200万
 (資本金 1,000万)
 (利益剰余金 200万)
ということにしておく。

とりあえずこれ買っとけ

株式会社の減資の税務と登記手続

わかりにくい本だと思うけど。特に税務処理のところとか

資本の減少により減少した資本金の額に相当する金額は、資本金等の額と規定されています。
したがって、資本金等の額のうち資本の額又は出資金の額以外の資本金等の額となります。

とか、いったい何を言っているのか。専門家はこれでわかるのかね……。でも一冊まるごと減資について説明している本なんて他にないし、この情報量は必須。

減資額を決める

資本金である1,000万がゼロにならないように、あと会社にキャッシュがほどほどに残るように、適当に決める。ここでは、たくさん払戻されたいので、900万ということにしておく。

株主総会で決議

ひとり会社なのだから取締役会は当然ないので、いきなり株主総会でおk。こんな感じで決議。これ決議が10月19日付、減資の効力発生日が12月5日となっているけれど、スケジュール的にはだいたいこんなもの、最短で一月半ほどはかかると思っておく。「減少する資本金の額のうち準備金とする額」は黙って0と書く。準備金にならないものは、その他資本剰余金というのになり、その他資本剰余金になったものを次フェーズで払戻す。

債権者保護手続き

資本が十分あったからお金を貸したのに知らない間に資本が減って株主に払戻されていたでござる、では債権者が困るので、債権者に減資の旨をつたえて異議をうったえる期間を与えるのが、債権者保護手続き。期間は一ヶ月。ひとり会社だと「債権者なんていないよ」というケースも少なくないけど、債権者がいなくてもこの手続きは省略できないのが残念。

会社ごとに定款で公告方法を定めているけれど、その方法にかかわらず、「資本金の額の減少公告」を官報に載せないといけない。こんな原稿を作成して、ウェブで適当に代理店(?)のようなところを探して、原稿を送ればよい。原稿を送ってから校正をへて掲載まで、最短で2週間ほどみておくこと。前年度の決算公告を出していない場合、上記原稿サンプルのように決算公告もつける。しめて掲載料11万円くらいなり。決算公告をすでにどこかに掲載している場合は、官報なら決算公告の掲載日付と掲載ページを、電子公告ならURLを載せないといけないので、文言が変わってくる。決算公告がなければ掲載料は半額くらい。

掲載日が決まったら、それに合わせて最短の効力発生日が確定するので、その時点で過去にさかのぼって株主総会をやり直したりしてね。もちろん、過去にさかのぼれればというSFの話だけどね。

さて、続いて、債権者全員に、催告書というのを送る。定款で公告方法を新聞や電子公告としている場合、催告書を送るかわりにこれらの媒体を利用することもできるらしいけれど、電子公告は、一ヶ月の保護期間中継続してウェブ上に掲載されていたことを証明する手続きが必要らしいので、おすすめできない。どうせ債権者なんていても少ないだろうから、すなおに催告書を送っておくのが楽でよいよ。

登記

一ヶ月待って債権者から異議がなかったら減資の効力が発生し、ようやく登記できるようになる。

登記申請書 に、債権者保護を行ったことを証する書類をつける。必要な書類は、債権者がいるかどうかによって変わってくる。申請書のサンプルは債権者がいなかった場合のもの。

  • 「資本金の額の減少公告」が掲載された官報原本と掲載ページの写し。債権者の有無を問わず必要。写しには、欄外に「これは原本の写しに相違ない」的なことを書いて、代表者が署名押印(代表印)しておく。登記書類提出時に法務局のひとが原本と照らし合わせるので、原本ももっていくこと
  • 債権者催告書。債権者がいなければこれは不要
  • 債権者一覧。一覧というか、債権者がいないことを証するためのもの。債権者がいる場合はたぶん不要だとおもう
  • 上申書。債権者の有無を問わず必要だが、内容は変わってくる。内容は事前に法務局のひとに見てもらうとよいよ。

登記事項はこんなかんじ

提出したらあとは数日寝てれば登記完了ー!